和
自然素材の持つ本来の力
『壁は全部漆喰にして下さい』
お仕事の過程で匂いに大変敏感になられたお施主様のこの第一声から本計画がスタートいたしました。
都会から帰ってこられるお施主様が、長閑なこの土地に落ち着いて気持ち良く過ごしていただけるように設計し、使用材料の選択にも細心の注意を払いました。
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まず壁面はご要望にもあったように、竹小舞、土塗り、漆喰仕上げ。調湿性能を持つ漆喰は、日本の伝統的な知恵です。
塗料は溶剤など匂いの出るものは使わず、昔ながらの伝統的な着色方法、柿渋+弁柄を樹種によって複雑に調合しました。
また内外装の着色後は、用途に応じて「荏油」「亜麻仁油」「桐油」を調合し、保護、撥水の効果が得られるようにしました。
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循環型社会の形成を目指し、構造材は山口県産材を使用。優良県産木材利用住宅の建築促進助成制度を利用しました。そのほか家具や建具などは全て無垢材によりデザインし仕上げしました。
気候風土に合わせた設計
全ての居室が南面し、心地よい風が抜けるように、各居室をドリフトさせました。それにより生まれた屋根の軽快でリズミカルな様子が日本住宅にありがちな重厚さを軽減しています。屋根材は、耐震性・耐風圧性向上のため、屋根重量を軽減し、長期メンテナンス性に優れたオールステンレスを採用。
あえて玄関を隠すことで、玄関までのわずかな道程が訪れる人の期待を高める、そんな空間にしました。南側の軒を2m出すことで、夏の日照をコントロール。効果は抜群でした。